作曲家スカルラッティの簡単な紹介や楽曲の特徴について。

作曲家スカルラッティの簡単な紹介や楽曲の特徴について。知っているとスカルラッティ鑑賞がちょっぴり楽しくなる四方山話。

スカルラッティってどんな人?

イタリア・スペインバロックの作曲家で演奏家。
オペラやカンタータで有名な作曲家のアレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725)はドメニコの父。
当初、父と同じようにカンタータを中心に手がけていましたが、縁あってポルトガル宮廷に仕えてからはチェンバロ音楽に専心するようになったといわれています。
音楽教師としてポルトガル王女(後にスペイン王妃)マリア・バルバラに仕え、王女のために大半を作曲したといわれる550曲以上のソナタは鍵盤史上珠玉の名曲として親しまれています。

ドメニコ・スカルラッティ (1685-1757)

ドメニコ・スカルラッティ (1685-1757) の略歴

1685- / 0歳
ナポリ(イタリア)に10人兄弟の6番目の子として生まれる。 因みに、バッハやヘンデルと同い年。
1701- / 16歳
ナポリの教会付き作曲家兼オルガン奏者に就任。
1720(1721?)- / 35歳
リスボン(ポルトガル)に行き、マリア・バルバラ王女に音楽を教える。
1729- / 44歳
マリア・バルバラがスペイン王家に嫁ぐため、マドリード(スペイン)へ。
1757 / 72歳
マドリード(スペイン)で没。

スカルラッティのソナタはソナタ形式じゃない?

ソナタ(sonata/イタリア語)とは、「作品」や「演奏されるもの」という意味です。

一般にクラシック音楽でソナタというと、古典時代以降の4楽章形式の作品を指しますが※1
スカルラッティの属したバロック時代までのソナタは、漠然と器楽曲を指す言葉で、スカルラッティの場合、単一楽章・二部形式の小曲です。

※1
参考:一般的なソナタ(古典時代以降)は4楽章形式で構成。
第1楽章・・・速いテンポのソナタ形式。
第2楽章・・・複合三部形式等の緩徐楽章。
第3楽章・・・メヌエットやスケルツォなどの小曲。
第4楽章・・・終曲として速いテンポのロンド形式やソナタ形式。

作品番号が複数存在? K(カークパトリック)番号とL(ロンゴ)番号について

スカルラッティの生前に492曲が出版されていたようですが、近年、研究家や学者により作品が発見・整理された事で、それぞれの識者により整理番号がつけられました。今のところ4種類(P. L. K. F)あるようです。

そのうち、よく使用される整理番号がロンゴ番号(L)とカークパトリック番号(K)です。

ロンゴ番号は、ロンゴ(Alessandro Longo 1864-1945)により544曲のソナタが確認され、1913年に発表された整理番号です。

また、カークパトリック番号はカークパトリック(Ralph Kirkpatrick 1911-)の研究によって更に曲が発見され、1953年に出版された555曲に新たにつけられた整理番号です。

このことから、1つの曲に異なった番号がついています。(例:ソナタト短調 L.386 K.35)

20世紀前半はL番号がメジャーでしたが、最近はK番号に従って呼ばれる方が多いようです。
尚、このサイトの視聴室ではK番号を採用しています。